七夕の夜
ニコンF6 AFレンズ50mm F1.8 F1.8 1/500
フジ・フォルティア(ポジ)
東京・日比谷
いつもの夜 いつもの店の いつものテーブルで いつものように夕食をとる。
窓ガラスにバイクのライトが映り、そして消えた。
店のドアがいつものようにきしみながら開くと、その、ふたりが入ってきた。
向かいのテーブルに座ったふたりはマスターに注文を済ませると、ふたりだけの世界に入る。
テーブル下で、ふと、絡み合う足が世界への入り口なのかもしれない。
あれから、どれだけの時間が通り過ぎていっただろう。
僕がまだ駆け出しの、そう、六畳一間のアパートにいた頃。
彼女もまた、楽しげな笑顔を僕に向けていた。
あの頃は、彼女がそばにいるだけで楽しかった。
なんにもなかった。
なんにもなかったけれど、楽しかった。
幸せだった。
ゆっくりと時間が流れていた。
今頃、彼女はどうしているだろうか、、、、。
ふと、過ぎ去ったあの日が蘇る。
結局、彼女は、いまの僕を待ってはいられなかった。
もし、いまの僕が彼女に見えていたならば、いまも彼女は僕のそばにいてくれたのだろうか、、、。
2杯目のコーヒーを飲み終えた頃、ぼくは、そっと席をたつ。
店のドアがいつものようにきしみながら開くと、ふたりの楽しげな会話が僕の背中を包み込む。
ドアが閉まるとき、また、いつもの時間がそっと僕を包み込む。
そんな、ちょっぴりせつない、七夕の夜。
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